Info 富山市共有名義住宅の離婚売却マニュアル|承諾取得ステップと代替策
2025.08.07コラム

離婚は人生の大きな転換点であり、特に共有名義の不動産を所有している場合、その処理は複雑で感情的な問題に発展しやすいものです。富山市においても、夫婦で購入したマイホームの売却手続きで悩まれるお客様が増加しています。
みつばち不動産では、富山エリアを対象に豊富な売却メニューでお客様のお困りごとを解決に導いており、これまで多くの離婚に伴う不動産売却をサポートしてまいりました。この記事では、共有名義住宅の売却における基本的な手続きから、全員の同意が得られない場合の具体的な対処法まで、専門的な知見をもとに詳しく解説いたします。
共有名義不動産の基本知識
共有名義とは何か
共有名義の不動産とは、一つの不動産を複数人で共同所有している状態を指します。夫婦での共同購入や相続によって発生することが多く、各共有者には「共有持分」という所有権の割合が認められています。
重要なのは、この共有持分は民法によって個人の所有物とみなされ、所有者が単独で自由に処分できる権利であることです。しかし、不動産全体の処分には制約があります。
不動産に対する行為の分類
不動産に対する行為は、必要な同意の範囲によって以下の3つに分類されます。
| 行為の種類 | 内容 | 必要な同意 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 保存行為 | 物件の状態維持 | 単独で可能 | 修繕、不法占拠者の排除 |
| 管理行為 | 管理・改良 | 共有持分の過半数 | リフォーム、短期賃貸契約(土地は5年以内、建物は3年以内) |
| 変更・処分行為 | 変更・処分 | 全員の同意が必要 | 売却、解体、抵当権設定 |
✓ポイント:不動産の売却は「変更・処分行為」にあたるため、必ず共有者全員の同意が必要となります。一人でも反対する共有者がいれば、不動産全体の売却はできません。一方、自己の共有持分については民法第206条により自由に処分できるのが原則です。
離婚時売却の基本ステップ
Step1:不動産査定
まず、不動産の客観的な価値を把握することが重要です。複数の不動産会社に無料査定を依頼し、査定額を比較検討することをお勧めします。より正確な価値を知りたい場合は、不動産鑑定士による有料鑑定も選択肢となります。
Step2:財産分与の協議
離婚協議において、不動産の財産分与について話し合います。目安として、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産は2分の1の割合で分割されることが多いですが、寄与度等により調整される場合もあります。
売却して得た利益の分配方法や、どちらかが住み続ける場合の条件などを決定します。住宅ローンが残っている場合は、債権者(金融機関)との協議が必ず必要となります。
Step3:共有者全員の同意取得
不動産全体を売却するには、すべての共有者からの同意が不可欠です。この段階で同意が得られない場合、後述する代替策を検討する必要があります。
Step4:売買契約の締結
共有者全員の同意が得られたら、不動産会社と媒介契約を結び、買主との間で売買契約を締結します。
Step5:決済・引き渡し
売買契約に基づき、買主から代金を受け取り、不動産を引き渡します。
Step6:確定申告・譲渡所得税の納税
不動産売却で利益が発生した場合、売却の翌年に確定申告を行い、譲渡所得税を納める必要があります。「居住用不動産の3,000万円控除」などの特例を適用できる可能性もあります。
✓ ポイント:離婚協議は離婚届提出前に済ませておくことが重要です。離婚成立後に連絡が取れなくなったり、協力を得られなくなるリスクが高まります。
承諾が得られない場合の代替策
A. 共有持分売却
同意は不要で、民法第206条により、共有持分は他の共有者の同意なしに売却可能です。ただし、以下の特徴があります。
- 売却の難しさ:一般の買主が見つかることはほとんどなく、市場価格より割安になりやすい傾向があります
- 価格の特徴:物件の状況や市場環境により価格は大きく変動するため、複数業者での査定が重要です
主な売却先
1. 共有持分専門の買取業者
o 訳あり物件でも積極的に買取
o 現金化が早い
o 弁護士と連携している業者が多い
2. 他の共有者
o 持分割合増加により管理がしやすくなる
o 過半数所有で単独管理行為が可能
B. 共有物分割請求(訴訟)
民法256条第1項により、共有者はいつでも共有物の分割を請求できます。
分割方法
- 現物分割:不動産を物理的に分割
- 代償分割:一人が不動産を取得し、他の共有者に金銭を支払う
- 換価分割:不動産を売却し、売却代金を分割
プロセス
- 協議
- 簡易裁判所への民事調停申立
- 地方裁判所での共有物分割請求訴訟
✓ ポイント:訴訟まで進むと弁護士費用と時間がかかり、競売が決定された場合は相場よりも低い価格での売却となるため、最終手段として検討すべきです。
C. その他の代替策
- 任意売却:債権者(金融機関)の同意を得て物件全体を売却し、残債整理を図る手続。競売回避の選択肢
- 不動産買取:業者への直接売却(早期現金化が可能)
- 競売:裁判所への競売申立(売却価格が低くなる傾向)
- 共有持分の贈与・放棄:税金や登記費用に注意が必要
富山市における売却実態と独自分析

富山市の不動産市場特性
富山市では、持ち家率が全国平均を上回る傾向にあり、共働き夫婦による共有名義住宅の取得も一般的に見られます。近年、離婚に関する相談とともに、共有名義住宅の処理に関するお問い合わせも増加しています。
みつばち不動産での解決実績
当社がこれまでに取り扱った離婚に伴う共有名義住宅売却案件では、以下のような解決パターンが見られます。
- 全員同意による売却:協議がスムーズに進むケースで、比較的短期間での解決が可能
- 共有持分売却:早期解決を優先される方に選ばれる傾向
- 調停・訴訟:協議が難航した場合の最終手段として活用
解決までの期間は案件により大きく異なりますが、全員同意が得られる場合は数ヶ月、法的手続きが必要な場合は半年以上を要することが多く見られます。
独自の知見として、富山市では親族間での不動産共有が多く見られるため、感情的な対立が解決を困難にするケースがあります。また、雪国特有の維持管理費用(雪下ろし等)が共有者間の負担割合で争点となることも地域特有の課題として挙げられます。
離婚時の注意点とリスク回避

共有名義のまま放置するリスク
- 売却制約:元配偶者の同意が常に必要
- ローン返済リスク:滞納による競売の可能性
- 管理トラブル:維持管理費の負担問題
- 権利関係の複雑化:相続や再売却による共有者増加
- 継続的な負担:固定資産税や維持費の支払い
住宅ローンが残っている場合の対処法
名義変更には必ず債権者との協議が必要です。以下の点を確認しましょう。
- ローンの残債額と不動産価値の比較
- 返済能力の審査
- 連帯保証人の変更手続き
- 抵当権の取り扱い
✓ ポイント:住宅ローンが残っている場合、名義変更と債務移転を同時に行うことで、債権者の了承が得られることもあります。ただし、ケースバイケースのため事前の相談が重要です。
専門家への相談の重要性
各専門家の役割
- 弁護士:財産分与交渉、共有物分割請求訴訟の対応
- 司法書士:不動産の名義変更、登記手続き
- 不動産会社:査定、売却仲介、共有持分買取
- 税理士:譲渡所得税、贈与税の相談
まとめ
富山市における共有名義住宅の離婚売却は、複雑な法的手続きと感情的な対立が絡み合う難しい問題です。不動産全体の売却には共有者全員の同意が必要ですが、同意が得られない場合でも、共有持分のみの売却や共有物分割請求など、複数の解決策が存在します。
重要なのは、早期に専門家に相談し、適切な対策を講じることです。みつばち不動産では、富山エリアでの豊富な実績をもとに、お客様一人ひとりの状況に最適な解決策をご提案いたします。
共有名義住宅の売却でお悩みの際は、ぜひ一度ご相談ください。経験豊富なスタッフが、トラブルを未然に防ぎ、円満な解決に向けてサポートいたします。
